「育児・介護休業法」の改正により、これまで従業員数1,001人以上の企業に限定されていた男性従業員の育児休業等取得状況の年1回公表義務が、2025年4月から従業員数301人以上の企業に拡大されました。これは、男性の育児参加をさらに促し、男女ともに仕事と育児を両立できる社会を目指すための重要な一歩です。
なぜ今、男性の育休取得が重要視されるのか?
厚生労働省の調査によると、2023年度の男性育児休業取得率は30.1%と前年度より増加したものの、女性の84.1%と比較すると依然として大きな開きがあります。政府は2025年までに50%、2030年までに85%への引き上げを目標としており、男性の育児参加は喫緊の課題です。
企業が対応すべきこと
1. 公表義務の対象企業
2025年4月より、常時雇用する従業員が301人以上の企業が対象となります。従業員数300人程度の企業は、今後の採用計画にも注意が必要です。
「常時雇用する従業員」には、正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトなど、雇用形態に関わらず以下のいずれかに該当する従業員が含まれます。
- 雇用期間の定めがない従業員
- 雇用期間に定めがある、または日々雇用されているが、1年以上継続して雇用されている(見込みを含む)従業員
2. 公表する内容
公表する内容は、直前の事業年度における以下のいずれかの取得割合です。
1. 育児休業等の取得割合
2.育児休業等と育児目的休暇の取得割合(育児目的休暇制度がない場合は1を選択)
数値だけでなく、どの計算方法を用いたか、算定期間も明記する必要があります。
💡「育児休業等」とは?
育児・介護休業法に基づく育児休業(産後パパ育休を含む)や、3歳未満の子どもを持つ従業員への育児短時間勤務の代替措置としての休業などが含まれます。
💡「育児目的休暇制度」とは?
就業規則などで育児を目的とすることが明記されている休暇制度を指します。失効した年次有給休暇の育児目的利用や配偶者出産休暇などが例として挙げられます。
3. 公表方法
インターネットなど、誰でも閲覧できる方法での公表が義務付けられています。厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」や自社サイトへの掲載が推奨されています。インターネット環境がない場合は、事務所での閲覧も可能です。
4. 公表期限
公表は、公表前事業年度終了後、**速やかに(おおむね3か月以内)**行う必要があります。例えば、3月決算の企業は、2025年6月末までに2024年度の取得状況を公表する必要があります。
まとめ:公表義務を働き方改革のチャンスに!
男性の育児休業取得率の公表は、単なる法令遵守にとどまらず、企業の働きやすさを示す重要な指標となります。ワークライフバランスを重視する現代において、男女問わず安心して働ける環境を整備することは、離職防止や優秀な人材の確保、長期的な人材育成にも繋がります。
今回の公表義務拡大を機に、企業は男性の育児休業取得促進に積極的に取り組み、より働きやすい職場づくりを進めていくことが求められています。