生理休暇、たった0.9%の利用率。あなたの会社は大丈夫?取得推進の完全ガイド

生理によるつらい体調不良。周りに言い出せずに我慢しながら働いている女性も多いのではないでしょうか? 実は、生理による就業困難な場合に取得できる**「生理休暇」**は、労働基準法で定められた従業員の権利です。
しかし、「上司に言いづらい」「制度自体を知らない」といった理由から、活用率はわずか0.9%(令和2年度調査)と低いのが現状です。
労務担当者の方々をはじめ、すべての従業員がこの制度を正しく理解し、誰もが心身ともに健康に働ける職場環境づくりをめざしましょう!


1. 生理休暇の基本をチェック!

◎ 生理休暇とは?
法令で定められた権利: 労働基準法第68条に基づき、生理日の就業が著しく困難な女性従業員から請求があった場合、企業は就業を拒否できません。違反すると罰則(30万円以下の罰金)の可能性があります。
対象: 正社員、契約社員、パート・アルバイトなど雇用形態を問わず、すべての女性従業員が対象です。
請求方法: 原則として、口頭での請求でOK。医師の診断書などの特別な証明書を求める必要はありません。煩雑な手続きは取得しづらさにつながります。
取得日数・単位: 症状に個人差があるため、取得日数を制限することはできません。また、1日単位に限らず、半日や時間単位での取得も可能です。

◎ 「著しく困難」ってどの程度?
症状には個人差がありますが、「薬を使っても痛みが続く」「不快な症状が強く、1~2日安静にしても症状が続く」などが目安とされています。**単に生理日であるというだけで請求することは「権利の濫用」**となる可能性があるため、制度の趣旨を正しく理解し、周知することが大切です。


2. 企業が取るべき対応と職場環境づくりのポイント

生理休暇を形骸化させず、従業員が利用しやすい環境にするために、企業側の対応と周知徹底がカギになります。

◎ 就業規則への明記と周知
記載義務: 生理休暇に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項です。定めがない場合は必ず記載し、内容を従業員に十分に周知しましょう。
賃金について: 生理休暇の日の賃金支払いについては、法令の定めはなく、企業が自由に決められます(有給・無給)。有給とする場合、「○日までを有給とする」などの制限を設けることは可能です。これも就業規則に明記しましょう。

◎ 不利益な取り扱いの禁止
・生理休暇を取得したことのみを理由に、人事考課、昇給、昇格などで不利益な取り扱いをしてはいけません
・年次有給休暇の出勤率算定において、生理休暇を「出勤日」とみなすかは企業で決められます。ただし、この取扱いが出勤率に影響し、結果として昇給等の判定に響くことは、不利益な取り扱いにあたり違法となる可能性があります。

◎ 従業員の理解を深める取り組み
取得しやすい職場づくりのためには、女性だけでなく男性も含めたすべての従業員の理解が不可欠です。
研修・勉強会の実施: 女性特有の健康課題(月経困難症、PMSなど)について、男女問わず共通認識を持つための研修や勉強会が効果的です。
生理休暇の積極的な周知: 制度の存在だけでなく、取得方法、権利の濫用とならない範囲なども含めて明確に伝えましょう。

◎ 取得を促す企業の工夫事例
請求方法の負担軽減: 口頭・電話だけでなく、チャットなどの負担の少ない方法も請求手段に追加する。
柔軟な働き方の導入: 症状が軽度で自宅就業が可能ならテレワークを認める
名称の工夫: 「生理休暇」という直接的な名称を避け、伝えやすい名称に変更する。
対象の拡大: 生理前のPMS更年期症状など、生理以外の体調不良にも休暇の対象を広げる(男性の更年期も含む)。


まとめ

生理休暇は、女性が健康で快適に働くために不可欠な制度です。症状を我慢させては、心身に大きな負担がかかってしまいます。
労務担当者だけでなく、管理職や従業員同士が制度を正しく理解し、「お互いさま」の気持ちでサポートし合える、開かれた職場環境づくりが最も重要です。あなたの職場は、従業員が安心して生理休暇を取得できる環境になっていますか?