2019年4月からは、有給休暇が10日以上付与される従業員に対し、年5日の取得が義務化されています。厚生労働省の調査では、2022年の有給休暇取得率は62.1%と過去最高を記録しましたが、政府目標の70%にはまだ届いていません。
どんな人が有給休暇をもらえるの?
正社員、パート・アルバイトといった雇用形態に関わらず、以下の2つの条件を満たす従業員が対象です。
1. 入社後、6か月間継続して勤務している
2. 有給休暇の付与日前の1年間(初回は6か月間)の全労働日の8割以上出勤している
出勤率の計算には、休日出勤は含めませんが、遅刻や早退は出勤として扱われます。また、育児休業や介護休業、業務上の負傷による休業なども出勤とみなされます。
有給休暇は何日もらえるの?
有給休暇の付与日数は、入社してからの継続勤務年数によって変わります。
- 週5日以上勤務、または週30時間以上勤務の場合: 入社6ヶ月で10日、1年6ヶ月で11日と、年々増えていき、6年6ヶ月以上で20日付与されます。
- パート・アルバイトなど週の所定労働時間が30時間未満の場合: 週の所定労働日数に応じて、比例して日数が付与されます。
💡有給休暇の時効は2年!
前年度に取得しきれなかった有給休暇は、翌年度に繰り越すことができますが、付与されてから2年で時効になります。
有給休暇中の賃金はどうなるの?
有給休暇を取得した日の賃金は、以下の3つの計算方法から企業が就業規則などで定めた方法で支払われます。
1. 通常の賃金:普段通りの給料が支払われる、最も一般的な方法です。
2. 平均賃金:有給取得日の前3か月間の賃金総額を、その期間の暦日数で割って計算します。
3. 標準報酬月額の1/30:健康保険の標準報酬月額を基に計算する方法で、労使協定が必要です。
企業の有給休暇管理、ここがポイント!
企業は、従業員の有給休暇の状況を把握するために、有給休暇管理簿を作成・保存する義務があります。この管理簿には、付与基準日、取得日数、取得時季を記載する必要があります。勤怠管理システムで管理している場合でも、必要な情報がいつでも出力できる状態であれば問題ありません。
よくある質問と取得促進のヒント
Q1. パート・アルバイトから正社員になったら、有給休暇はどうなる?
付与基準日時点の所定労働日数で判断されます。たとえ、付与基準日前の1年間がパート・アルバイトで所定労働日数が少なかったとしても、付与基準日時点で正社員であれば、正社員としての付与日数が適用されます。
Q2. 前年度と今年度の有給休暇、どちらから取得する?
多くの場合、時効が迫っている前年度分から消化するルールが採用されています。ただし、就業規則に定めれば、今年度分から消化することも可能です。
Q3. 有給休暇の買い上げはできる?
原則としてできません。有給休暇は従業員が心身を休めるためのものだからです。ただし、法定を超えた日数、退職時に消化できなかった日数、時効で消滅した有給休暇については、買い上げが認められています。
Q4. 有給休暇の申請に理由は必要?
必要ありません。 有給休暇は従業員の権利であり、企業が取得理由によって取得可否を判断したり、理由の提出を強制することはできません。
有給休暇を取得しやすくする工夫
従業員がもっと気軽に有給休暇を取れるよう、企業は様々な取り組みができます。
- 半日単位・時間単位の有給休暇の導入:短時間の用事にも対応でき、取得のハードルが下がります。
- 計画的付与の導入:企業が計画的に有給休暇の取得日を割り振ることで、従業員はためらいなく休めます。
- 取得推奨日の設定:夏季休暇や年末年始の前後、飛び石連休の間の平日などに推奨日を設けることで、取得を促せます。
- 付与基準日の統一:従業員ごとに異なる付与基準日を統一することで、管理が楽になり、取得状況の把握も容易になります。
働きやすい職場は、有給休暇から!
業務効率化や属人化の解消、チーム内の情報共有は、有給休暇の取得促進にも繋がります。有給休暇が取得しやすい職場は、従業員のワークライフバランスを向上させ、離職防止や定着にも貢献します。
あなたの会社は、従業員が気持ちよく有給休暇を取得できる環境が整っていますか? ぜひこの機会に、有給休暇の管理状況を見直し、取得率向上に向けた取り組みを検討してみてくださいね!