労働安全衛生法改正:働き方改革を加速する4つの重要ポイント

2025年5月に成立した「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」のポイントは、以下の4点に集約されます。


1. 個人事業主等への安全衛生対策の拡大

これまでは従業員が対象だった安全衛生対策が、個人事業主や中小企業の事業主、役員などにも拡大されます。 これにより、建設業だけでなく、他の業種でも発注者が安全な作業を妨げるような条件をつけない配慮義務が適用されます。 また、元請け事業者が行う安全衛生に関する措置の対象に個人事業主等が含まれるようになり、業務中の災害報告義務が創設されます。さらに、個人事業主等にも危険な機械の使用禁止や定期検査の実施、危険な業務につく際の安全衛生教育の受講が義務付けられるようになります。


2. メンタルヘルス対策の強化

これまでは努力義務だった従業員50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が、すべての事業場で義務化されます。 具体的な施行時期は公布後3年以内に政令で定められる予定で、国がマニュアル作成や支援体制の拡充を進めています。


3. 高年齢労働者の労働災害防止

労働災害に占める60歳以上の労働者の割合が増加傾向にあるため、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善や作業管理が企業の努力義務となります。 これに関する指針が厚生労働大臣から公表される予定です。


4. 治療と仕事の両立支援

「労働施策総合推進法」の改正により、病気の治療をしながら働く人が両立できるよう、企業が環境を整備することが努力義務となります。 これについても厚生労働大臣から指針が公表される予定です。

これらの改正は2026年1月1日から段階的に施行されるため、企業は自社に影響する改正内容を確認し、計画的な準備を進めることが重要です。